400年以上の歴史を誇る黒毛和牛|近江牛とは?

近江牛

日本三大和牛としてよく名前があがる「近江牛」は、滋賀県で生産される黒毛和牛です。江戸時代には将軍家に献上されるなど「近江牛」には400年以上の歴史があり、日本のブランド牛の中ではトップの歴史性を持っています。ここでは「近江牛」の読み方や、定義、歴史、そして美味しい食べ方などをご紹介します。

 

近江牛について

近江牛の読み方

「近江牛」の読み方は、「おうみぎゅう」と「おうみうし」のどちらも正解です。

 

近江牛の定義

「近江牛」は、飼育期間のうち滋賀県内で飼育された期間が一番長い黒毛和種の和牛です。

「近江牛」と「認証近江牛」の違い

「近江牛」の中でも特に品質の優れたものは「認証近江牛」と呼ばれます。
「認証近江牛」は、

・「近江牛」の中でも、枝肉格付がA4・B4等級以上のもの
・近江牛生産・推進協議会の構成団体の会員が生産したもの
・滋賀食肉センターまたは東京都立芝浦と畜場でと畜・枝肉格付されたもの

などの条件を満たしたものです。
「認証近江牛」と認められると、認定証と認証シールが交付されます。

 

近江牛のランク

「認証近江牛」のランクはA5・A4・B5・B4です。
「認証近江牛」以外の「近江牛」にはランクの規定は特にありません。

 

近江牛の歴史

近江牛は日本最古の銘柄牛

近江牛は、日本のブランド牛の中でもっとも古い歴史を持ち、そのルーツは400年以上前にさかのぼります。
古くは1590年(天正18年)に、豊臣秀吉の小田原征伐(おだわらせいばつ)のときに、高山右近が蒲生氏郷と細川忠興に牛肉を振る舞ったとされています。

 

江戸時代の近江牛は薬だった?

江戸時代に入ると、近江国(おうみのくに)の北部を領有していた彦根藩では、「牛肉の味噌漬け」を作り、「反本丸(へんぽんがん)」という名前の養生薬として将軍家へ献上していました。
江戸幕府最後の将軍・慶喜の実父、徳川斉昭は牛肉愛好家で、毎年近江から届く近江牛の味噌漬けを楽しみに待っていたといわれ、藩主にあてた礼状も残っています。
彦根藩の記録によると、松平定信などの大名にも、味噌漬や粕漬などの加工品が贈られていました。

江戸時代には家畜を殺すことは禁止されていたにもかかわらず、彦根藩が幕府公認で牛を屠殺できたのには理由がありました。それは、当時の彦根藩は、陣太鼓に使う牛皮を毎年幕府に献上していたからです。このため、彦根藩では、農耕用に使えなくなった老いた牛を集め屠殺していました。

このような背景があったので、彦根藩で牛肉の加工品が作られるようになったのです。

 

明治時代の「江州牛」牛追い道中

江戸時代が終わり日本が外国に開港したころ、近江牛は「江州牛」と呼ばれていました。
横浜に住む外国人が好んで牛肉を食べることが知られるようになると、滋賀から陸路横浜まで「江州牛」をひき連れ、外国人と直接取引を始める近江商人も登場しました。
東京でも続々牛鍋屋が開店し、どんどん伸びる需要に対応するために、「江州牛」は神戸港から芝浦港へ海路出荷されるようになりました。

そして、1889年に東海道線が開通すると、「江州牛」は滋賀から東京へ鉄道を使って大量に出荷されるようになりました。東京で「江州牛」にかわって「近江牛」の名前が広まり始めたのはこのころです。
1906年、上野公園で開催された全国家畜博覧会で近江牛が1位になると、「近江牛」はますます注目されるようになりました。

 

近江牛ブランド誕生

1950年代には、近江肉牛協会が東京で「大宣伝会」を展開しました。国会議事堂で生きた近江牛を披露したり、日本橋の白木屋屋上で近江牛の競りが市民に公開されました。
「近江牛」の品質に加えて、このような積極的なPRが功を奏し、「近江牛」は高級和牛としてのブランド力を上げていきました。

 

近江牛の特徴

近江牛は霜降り度合いが高く、独特の香りと肉の柔らかさが特徴です。
近江牛のルーツは農耕用の但馬(たじま)系の牛といわれています。
なるほど、近江牛のきめ細かな肉質は、但馬牛の特質である細かい筋繊維を彷彿とさせます。そして、きめが細かければ細かいほど柔らかさの際立つ肉になります。

近江牛は美しいサシも特徴です。綺麗な細かいサシが全体的に入った肉は、口に入れるととろけるように感じられます。
そして近江牛の良質の脂肪は、白か淡いクリーム色ではツヤがあり、適度な粘りを持っています。
このほかにも、近江牛は、輸送中に牛の体重が減ってしまう「目減り」や、水分が蒸発して枝肉の量が減少してしまう「水引」が少ないという特徴があります。

 

近江牛の美味しい食べ方

近江牛のステーキ

近江牛の特徴である粘りのある脂の甘味を味わうなら、まずおすすめはステーキです。
ウエルダンでじっくり火を通すと、せっかくの上質の脂の良さを楽しめませんので、レアからミディアムレアくらいの焼き加減がおすすめです。表面だけ焼いて肉汁をステーキの中に閉じ込めるイメージで。

ステーキを美味しく焼くコツ

ステーキは自宅でも美味しく焼けますよ。
まず、焼く前にお肉を室温に戻しておくのが上手に焼くポイント。
お肉を焼くときは、よく熱したフライパンで火加減は強めでサッと焼きます。
ひっくり返すのは一度だけ。
お肉が焼けたら、アルミホイルに軽く包んで最低5分は休ませるのも重要ポイントです。
休ませている間に肉汁が落ち着き、ステーキをカットしたときに肉汁が流れ出るのを防ぎます。

近江牛ステーキの食べ方

近江牛のステーキの持つ肉本来のうまみと甘みを堪能するなら、味付けはシンプルにするのが一番です。
究極のシンプルは岩塩だけでいただくというもの。
近江牛の甘やかな味わいと香りが際立ちます。
岩塩のほかにも、日本各地で色々な風味の塩が生産されていますので、何種類か揃えて、お肉とのマッチングを楽しむのもいいですね。
海外では、牛肉をトリュフ塩でいただくのも人気です。

 

近江牛のすき焼き・しゃぶしゃぶ

綺麗なサシが全体に入った近江牛の薄切りで作るすき焼きやしゃぶしゃぶ。
簡単に切れてしまうほどとても柔らかいお肉のすき焼きやしゃぶしゃぶで、とろける口溶けを楽しむのはいかがですか。
すき焼きもしゃぶしゃぶも、サッと素早くお肉に火を通すのが美味しくいただくコツです。
近江牛の芳醇な和牛香もぜひ楽しんで。
それに、美しい霜降りの近江牛を使ったすき焼きやしゃぶしゃぶは、テーブルの上でのプレゼンテーション効果も抜群です。
お客様を自宅でおもてなしするときにもぴったりなのではないでしょうか。

 

近江牛の焼肉

ステーキ同様、近江牛の良さを活かすなら、サッと焼いてシンプルな味付けがおすすめです。
近江牛の脂はオレイン酸が多くしつこくないので、美味しいお肉を何枚でも食べることができそうですね!

 

近江牛ギフト選びのコツ

400年以上の歴史があり、日本三大和牛にもたびたび数えられる近江牛は、贈り物にもぴったり。
お世話になった目上の方へのギフトなら、同じ近江牛でも「A4」「B4」以上の肉質が望める「認証近江牛」を選ぶと安心ですね。
お肉好きのあの方へは、粘りのある脂の甘さを楽しめるステーキ、
ご年配のご夫婦なら、しつこくない口どけのすき焼きやしゃぶしゃぶ、
お子さんの成長が楽しみな若いご家族なら焼肉のセット…。
贈る方の顔を思い浮かべながら、どの近江牛が一番喜んでもらえるのか考えながら選んでみては。
近江牛は、和牛グルメファンだけでなく、日本の歴史が好きな方にもきっと喜んでいただける贈り物になると思います。

人に贈るだけでなくて自分も食べてみたいと思ったら、通販で自分用にお取り寄せするのもいいですね。
近江牛の歴史ある美味しさをぜひ味わってみてはいかがでしょうか。

 

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