仙台牛と仙台牛タン|A5とB5しか許されない仙台牛とは

仙台牛 レシピ

日本で唯一、格付けが肉質等級最高級の5でないと許されない銘柄牛、それが仙台牛です。ここでは、仙台牛の定義や歴史をはじめ、仙台牛と仙台名物牛タン焼きの関係や、仙台牛の美味しい食べ方をご紹介します。仙台牛について詳しく知りたい方のお役に立てれば幸いです。

 

仙台牛(せんだいぎゅう)について一番大事なこと

「仙台牛」についてまず知っておいてほしいことは、「仙台牛」は日本で唯一、格付けが「A5」または「B5」でないと「仙台牛」と呼ぶことを許されない、厳しい審査基準を通過したものだということです。
かつては、松阪牛や飛騨牛などの他の銘柄牛の中にも「肉質等級5」に限定しているものがありましたが、現在では「仙台牛」以外の銘柄の基準は緩められています。ですので、「肉質等級5」限定の銘柄牛肉は日本全国で「仙台牛」だけとなっています。

 

仙台牛の定義・歴史・格付け

仙台牛の定義

仙台牛銘柄推進協議会によると、仙台牛の定義は次のようになっています。

・黒毛和種であること
・仙台牛生産登録農家が個体に合った適正管理を行い、
・宮城県内で肥育された肉牛
・仙台牛銘柄推進協議会が認めた市場並びに共進会等に出品されたもの
・(社)日本食肉格付協会枝肉取引規格が、A5またはB5に評価されたもの。

これらすべての条件に当てはまるものだけが仙台牛の名前で出荷されます。

 

仙台牛の歴史

仙台牛の歴史は、昭和6年に、宮城県畜産試験場が、牛肉の肉質を向上させるために兵庫県から種牛を導入し、牛の改良をスタートさせたところから始まります。その後、昭和49年、「茂重波号(しげしげなみごう)」というとても優れた種牛の導入により、遂に高品質の牛肉を作りだすことに成功し、現在の仙台牛の基礎が築かれました。
「茂重波号」は、兵庫県の名牛といわれた「茂金波号(しげかねなみごう)」を父に持つ黒毛和種です。父牛「茂金波号」は、兵庫県の銘柄牛・神戸牛の素牛である但馬(たじま)牛の中でも「熊波系」と呼ばれる系列で、大きな体格の資質の良い牛だったと伝えられています。この父牛の血統を引き継いだ「茂重波号」は、宮城県で4万頭以上の質の高い子牛を生産しました。
このように、現在流通している仙台牛のルーツは「茂重波号」という1頭の優秀な種牛だったということになります

 

仙台牛の美味しさのヒミツ

仙台牛は絶妙な脂肪と赤身のバランスを持ち、その美味しさは、やわらかな口当たりとまろやかな風味、そして豊富な肉汁が特徴です。
仙台牛が美味しい理由は、まず、良質な水と稲わらです。宮城県は日本でも有数の米どころで、秋の降水量が少ないので良い稲わらができます。仙台牛は、そのような質の高い稲わらと、きれいな水で育ちます。また、宮城県は子牛の産地ということもあり、生まれたときから宮城県内で育つので、ブレのない高い肉質をキープすることができます。

 

仙台牛の格付け

冒頭でもお伝えしましたが、「A5」「B5」と評価されたものだけが仙台牛と呼ばれます。
この「A5」「B5」とは、(社)日本食肉格付協会の「枝肉(えだにく)取引規格」というランク付けで、日本全国の食肉の評価基準になっています。「枝肉取引規格」には「歩留等級」と「肉質等級」があります。
「歩留等級」(A~C)は、骨のついた肉から骨や余分な脂などを取り除き、肉にした時の肉の割合のことです。赤身の肉が多ければ多いほど生産効率が良いとされ、評価が高くなります。最高評価はAで、A・B・Cの3つの等級があります。
そして「肉質等級」(1~5)は「霜降の度合」を中心に、「肉の色」・「肉のキメや締まり」・「脂肪の色沢・光沢」の4項目を評価したものです。最高評価は5で、1~5までの5つの等級があります。
そして、牛肉の格付けは「歩留等級」と「肉質等級」を組み合わせたもので、A5を最高評価とし、最低評価はC1となります。
さて、「A5」「B5」と評価されたものだけが仙台牛と呼ばれますが、仙台牛と同じ育ち方をした牛のうち、A5、B5はのがしたものの、A4・A3・B4・B3・C5と評価された牛は「仙台黒毛和牛」と呼ばれます。仙台黒毛和牛は、霜降り具合などが仙台牛には劣るものの、遜色ない味の良さとされています。

 

仙台牛の個体識別番号と放射能検査

仙台牛を含む宮城県産牛は、全頭に放射線物質の検査が行われています。
また、個体識別番号を牛の個体識別情報検索サービスhttps://www.id.nlbc.go.jp/に入力すると、牛がどこで生まれ育ったかなどの情報を確認することができます。
そして、仙台牛の基準を満たす牛の枝肉には「仙台牛」印が、一方仙台黒毛和牛の基準を満たす牛の枝肉には「仙台黒毛和牛」印が押されています。

 

仙台牛と牛タン

仙台と聞くと美味しい牛タン料理を思い出す方も多いのではないでしょうか。ここでは仙台牛と仙台の牛タン焼きについてお伝えします。

 

仙台牛タンの発祥

仙台のご当地グルメ牛タン焼きは、厚切りの牛タンを焼いたものと、麦飯、テールスープ、そして浅漬けがセットになった「牛タン定食」が人気ですが、実は仙台牛を使った料理というわけではありません。
仙台の牛タン焼きの発祥は、第二次大戦後、仙台にGHQが進駐した頃にさかのぼります。米軍の駐屯で牛肉の消費量が増えたのですが、タンやテール、内臓は手を付けられず軍の外に出され安く出回るようになりました。そこで、仙台の焼き鳥店「太助」の佐野啓四郎氏が、このタンの調理法を研究して牛タン焼きの専門店を開業したのが、仙台名物・牛タン焼きの始まりといわれています。

 

仙台牛タン焼きの産地はアメリカ?オーストラリア?なぜ仙台牛じゃないの?

実は、仙台の牛タン焼きが仙台牛の牛タンを使っていることはほとんどありません。理由は、仙台牛のみならず、国産牛の牛タンは流通量が少なく高価だから。リーズナブルな値段でたくさんのお客さんに牛タン焼きを提供するには、国産牛の牛タンでは厳しいのです。ですので、仙台で牛タンを出す店のほとんどが、仙台牛の牛タンではなく、外国から輸入された牛タンを使っています。BSE発生がきっかけで米国産牛肉の輸入が禁止された2003年以前は米国産の牛タンが多かったのですが、それ以降はオーストラリア産とニュージーランド産の牛タンが多くなっているようです。
なお、仙台の牛タン焼きは仙台「名物」をうたっているので、外国産の牛タンを使っていても問題はありません。

 

牛タンの食べ方とおすすめ料理

仙台の牛タン焼きの味付けは、塩味や、醤油系のタレ味、そして味噌味などが一般的です。
仙台牛タン焼きのほかには、仙台牛タンシチューや仙台牛タンカレーも人気の美味しい食べ方です。
そのほか、牛タンの中には霜降り状になる「芯タン」や「トロタン」と呼ばれる部分もあり、焼肉にしたり、新鮮で上質なものは生で刺身として食べることもあります。

 

仙台牛の美味しい食べ方

仙台牛の美味しい食べ方やアレンジをご紹介します。

 

仙台牛ステーキ

仙台牛の食べ方のおすすめは、やはりステーキ。「A5」と「B5」しか許されない仙台牛だからこそ味わえる赤身と脂肪の絶妙なバランスを楽しめます。さっとレアで焼いて、仙台牛の特徴である豊かな肉汁を味わってみてください。自宅でステーキを焼くときは、焼いてすぐに切るとせっかくの肉汁が皿に流れ出してしまうので、ステーキが焼けたらアルミホイルで覆って最低5分は寝かせましょう。仙台牛のステーキにおすすめの部位は、サーロイン、ヒレ、リブロースです。また、ヒレの中にほんの少し存在する希少な部位・仙台牛のシャトーブリアンも一度は食べてみたい部位ですね。

 

仙台牛のすき焼き・しゃぶしゃぶ

すき焼きには仙台牛のモモを使ってみてください。肉の旨味とほどよい歯ごたえが楽しめますし、野菜や豆腐などの具が仙台牛の脂が溶け出したタレを吸って、美味しさがじんわり口の中に広がります。
しゃぶしゃぶには、リブロースや肩ロースで脂の旨味と柔らかな肉の口どけを楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

仙台牛ローストビーフ

仙台牛のローストビーフは自分の好きな厚さにスライスできるブロックが重宝します。3~4ミリにスライスしてお皿に綺麗に並べるだけで、パーティーの華やかな一皿になります。また、薄くスライスしたローストビーフと、ルッコラやクレソンなどの緑の野菜、そしてパルミジャーノ・レッジャーノをトーストしたパンにはさみ、マヨネーズと挽きたての黒コショウで仕上げて、ちょっと贅沢なサンドイッチにするのもおすすめです。

 

仙台牛生ハム

仙台牛の生ハムはふんわり柔らかく、口の中で上質の脂が溶け出すまろやかな美味しさです。そのまま食べるのはもちろん、いちじくやメロンとよく合いますし、グリッシーニに巻いてパーティーにもおすすめです。また、焼いたピザ台の上に中央をあけて仙台牛の生ハムをふんわりのせ、中央に卵を落として白身が軽く固まるまでオーブンで焼き、その上からルッコラをたくさんのせてパルメジャーノ・レッジャーノを削ると、巣ごもり風のピザになります。ピザに卵の黄身をつけながら食べると美味しいですよ。

 

仙台牛のギフト・お取り寄せ

仙台牛を通販でお取り寄せ

仙台牛が近所ではなかなか手に入りにくいときは、仙台牛の通販を利用してお取り寄せしてみてはいかがでしょうか。自宅に仙台牛が届くので出かけずにすみますし、外食するよりコスパがいいのも魅力です。それに、自宅なら自分の好きなときに好きな調理法で食べることができますね。

 

仙台牛ギフトのおすすめ

仙台牛は肉質等級最高級の5等級以外のお肉は混じっていないので、お世話になった方へ安心して贈ることができます。仙台牛を贈り物として贈るときのコツは、贈る方のことを第一に考えたギフト選びをすることです。和食が好きな方なら仙台牛の旨味を活かしたすき焼きやしゃぶしゃぶがおすすめですし、若い方や洋食が好きな方にはステーキが人気です。また、イタリア好きな方には生ハムを選んだり、イギリス好きの方にはローストビーフなど、趣味や好みを考えて選んだギフトはきっと喜んでもらえるのではないでしょうか。

 

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