黒毛和牛•牛肉の肩(ウデ)とは 部位の特徴・気になるカロリーとおいしいすき焼きの作り方をご紹介します!

牛肉の前足あたり、人間でいうところの肩甲骨から肘部分までにあたる部位「肩」は別名「ウデ」とも呼ばれています。
よく動く部位のため脂肪は少なめで、筋肉質でスジ・筋膜の多い赤身肉です。
赤身肉としてはモモと並ぶ人気部位ですね。
適度な脂の甘みと噛み締めて味わえる濃厚な赤身肉の味わいが好まれており、金額もロースに比べると安くてお手頃です。
希少部位の中でも有名で焼肉店で人気の『ミスジ』や『トウガラシ』はここから小割りできます。

今回は牛肉の肩(ウデ)の特徴と、割り下から作る美味しいすき焼きの作り方についてご紹介します。

牛肉の「肩(ウデ)」はどこの部位?

牛肉の肩(ウデ)とはどこの部位を指すのでしょうか?

肩(ウデ)は牛のネックと肩ロースの間の肩甲骨周りから前脚の付け根あたりの部位で、肩、もしくは別称ウデと呼ばれます。ミスジやトウガラシなどの希少部位を含めた6つの部位から成り立ち、よく動く部位なので、筋肉質で筋や筋膜は多いですが、薄切りにすればとても美味しく食べられます。脂は少なめですが、適度なサシと赤身肉の濃厚な旨味が堪能できます。噛み締めて溢れる肉の味を楽しめ、他の部位に比べて、比較的ヘルシーで手軽に購入できるのでおすすめの部位です。

 

「肩・ウデ」から小割りできる部位…ミスジ、ウワミスジ、マクラ(ニノウデ)、肩三角(クリ)、ヤリ(小三角)、トウガラシ(トンビ)

肩・ウデは全体的にみるとスライスに適した赤身肉です。
しかしミスジや肩三角をはじめ、それぞれの部位をその特徴に沿って小割りすると、ステーキ、焼肉、煮込み、ローストビーフに至るまで、全ての料理をこの肩部位一つでまかなえてしまうほどのポテンシャルを秘めているのです。
ただしそれぞれの部位間にスジが多いため、小割りすると歩留まりがかなり落ちてしまいます。
ですので、大抵はトウガラシを外した後の残りの塊を、特に細かく小割りせずにそのままスライスしてしまうことが多いです。
そのためミスジとトウガラシ以外の部位を精肉店で見かけることはあまりないかもしれません。

肩・ウデを小割りしていくと、ミスジ、ウワミスジ、肩三角(クリ)、マクラ(ニノウデ)、ヤリ(小三角)、トウガラシ(トンビ)という部位に分けられます。
それでは早速各部位の特徴をみていきましょう。

 

大人気の希少部位 ミスジ

牛の肩甲骨の内側にあり、肩(ウデ)の中で一番サシの入った霜降り部位。数ある希少部位の中でも3本の指に入る知名度と人気を誇る部位でもありますので、聞いたことのある方も多いのではないでしょうか?
ミスジは、1頭から2キロくらいしか取れず、マクラ側とヘッド側それぞれの両端でかなりその様相が変わります。ちょうど上記写真で上がマクラ側、下がヘッド側です。ミスジの中でも本当に美しいサシが入るヘッド側は、1頭から取れて1kgという大変貴重なお肉です。
ミスジはその断面がとても特徴的で、葉っぱのような形のちょうど中心に大きな筋が入っています。その筋を中心に、放射状に細かな繊維が広がっています。
焼肉用にカットする場合はこの真ん中の筋の部分で上下に切り分けることもありますが、ステーキやしゃぶしゃぶ用に薄切りスライスする場合はこの断面のままカットしていきます。

ミスジのヘッド側はまるでリブロースのようなきれいなサシが入っているものの、肩部位の一部であることからその肉質はモモのような赤身肉に近くあっさりとしており、霜降りと赤身肉両方の味わいを楽しめることで人気です。マクラ側に近づくにつれて肉質は赤身肉に近くなっていき、徐々に歯ごたえが強くなり、肉の味も濃厚になります。

ミスジはステーキ、焼肉、しゃぶしゃぶなど、どのように食べても美味しい部位です。
水分が少ない部位なので、焼きすぎないようにレアで食べるのがいいでしょう。
味付けはワサビ醤油が一押しで、ミスジ本来の味わいを楽しむためにも濃い味付けのタレで食べるのは勿体ないです。

 

ウワミスジ

ミスジの上部に少しだけ張り付いている部位で、1頭から1kgほどしか取れない希少部位です。
ミスジが肩甲骨の内側にあるのに対し、ウワミスジは肩甲骨表面に位置しています。表面に付いているだけなので非常に薄くミスジのマクラ側よりさらにサシが少ない赤身肉ですが、柔らかく食べやすい肉質です。ミスジより脂が少なく、よりさっぱりとしながらも赤身肉のコクと柔らかさが楽しめます。
内部に筋がたくさんあるため、綺麗に成形していくと元々絶対量が少ない部位の食べられる部分が更に減ってしまいます。

食べ方は焼肉がいいでしょう。
ミスジと同様に水分が少ない部位のため、焼きすぎてパサパサにならないよう、レアで食べてみてください。
赤身が強いので、塩コショウかタレがおすすめです。

 

マクラ・ニノウデ

前脚のスネの上の部分にあたり、よく動く部分なので、筋や筋膜が多く、肉もキメが粗く固いです。しかし、エキスやゼラチン質が多く、濃い肉の味も詰まっているため、ブイヨンや煮込み料理で凝縮した濃厚な旨味を楽しめます。
ソトモモ部位にあるシキンボウも関西ではマクラといいますが、前足か後ろ足かの違いなので、同じマクラという名称がついているのも頷けますね。
こちら前足のマクラは別名はニノウデとも呼びます。
スネに近い硬い肉質ですので、特に煮込み料理がおすすめですが、4,5等級の黒毛和牛であれば薄く切ってしゃぶしゃぶや焼肉で食べても美味しく頂けます。

 

肩三角・クリミ

神戸牛_肩三角

しゃぶしゃぶ・すき焼き用スライスの赤身肉の中でも当店一押しの部位です。
ミスジに隣接した肩から前脚にかけての部位で、大きな三角の形をしており、肩三角、ウデ三角や、栗に例えてクリ、クリミ等と呼ばれます。ここもよく動き筋肉質な部位なので食感はしっかりとしており、赤身にほどよくサシが入り、さっぱりした赤身肉の味わいがします。
ミスジほど太くはないですが、中心に長くスジが入っており、焼肉用にカットする場合はこの部分で2つに分けることもあります。
ミスジ隣接側かスネ側に向かうにつれて肉質はより赤身で固くなっていきます。
サシが少ないためヘルシーであっさりとしながらも味が濃く、程よい噛み応えと合わさっていくらでも飽きずに召し上がれます。

 

小三角・ヤリ・カワラ

一頭から2kg程度しか取れない希少部位で、三角の形をした肩の一部。大きな三角形の部位「肩三角」の近くにある小さな三角形の部位なので小三角と呼びます。他にもヤリやカワラとも呼ばれます。見た目はサシが多く入っていますが意外と固く、アクも強めの赤身肉ですが、薄切りにして噛み締めて味わうのに適しています。
煮込みにする場合はより固いマクラを使うことが多いため、小三角は焼肉用にカットして独特の食感を味わっていただくのがおすすめです。
焼きすぎないようにミディアムレアまでにして、醬油や塩コショウで召し上がってみてください。

 

トウガラシ・トンビ

牛一頭から3kgしか取れない希少部位で、肩部位から小割り出来る部位の中ではミスジに続いて有名です。
名前の由来はその形で唐辛子に似ていることからトウガラシと呼ばれていますが、形だけでなく色も真っ赤でトウガラシのようです。食感はしっかりしていて、噛むと肉汁が溢れ出し、さっぱりしているのに甘く旨味も充分という赤身肉の王道的な美味しさを味わえます。
アメリカ・オーストラリアでは、『チャックテンダー』と呼ばれています。
焼肉を始めとして、煮込みやローストビーフ、たたき、カルパッチョなどでも召し上がれます。
トウガラシも真ん中に筋が入っていますので、大きく2分割してから成形することもあります。
焼肉の場合はミディアムレアにして、塩コショウかタレで食べるのがおすすめです。

 

牛肉・黒毛和牛の「肩・ウデ」のお肉の特徴

「肩(ウデ)」のお肉の特徴は以下の通りです。

◎濃厚な赤身肉の味わい

牛の肩から前脚にかけての部分でよく動く部位のため、筋や筋膜が細かく入り、場所によっては肉のキメも粗いのですが、その分濃厚な旨味が詰まった赤身肉となっています。中でも脂が多いミスジなどは脂と赤身をバランス良く楽しめ、固いマクラは煮込みで美味しく、トウガラシは噛み締めて味わう赤身肉の深い味わいなど、部位や調理法によって違う、さまざまな味わいが楽しめるのが肩(ウデ)の特徴です。

◎脂は少なめで比較的あっさり

肩(ウデ)は全体的に脂が少なめなので、赤身ならではの独特の風味をあっさりといただけます。脂のコッテリした感じの苦手な方でも、食べやすい部位です。逆に脂の甘みを求める方はミスジを選ぶと適度にサシが入っており、脂も甘味もご満足いただけるでしょう。

◎固いので薄切りが良い

しっかりした肉質のため、薄切りにして、しゃぶしゃぶや焼肉などではさっと火を通していただくのがおすすめです。加熱しすぎると固くなってしまいます。薄く切っても遜色ない濃厚な肉の味が楽しめます。

◎筋や筋膜はエキスやゼラチン質が多いので煮込みに最適

煮込みには、よく煮込むことでとろとろになる筋や筋膜のゼラチン質が多い方がより柔らかく旨味も楽しめます。サーロインのような脂の多い部位や、ウチモモのような赤身のさっぱりした他の部位より、肩(ウデ)のマクラなどの筋の多い赤身肉の部分が煮込みには適しているのです。

 

気になる牛肉「肩・ウデ」のカロリーは?

和牛の肩(ウデ)のカロリーを調べてみました。

286kcal/100gとなっています。

脂が少なめなので、他の部位と比べて比較的カロリーは低いです。牛肉に含まれる栄養素には、タンパク質、ナイアシン、ビタミンB群、亜鉛などがありますが、赤身肉はさらにヘム鉄(鉄分)が多く含まれ、ヘルシーで栄養価が高い部位となっています。

 

牛肉・黒毛和牛の「肩・ウデ」を使ったおススメ料理

しゃぶしゃぶ・すき焼き

肩(ウデ)は肉質がしっかりしており、肉の味も濃厚なので、しゃぶしゃぶやすき焼きのように薄切りで料理するのに最適です。箸でしゃぶしゃぶしたり、さっと煮込んだりした時に形が崩れません。シンプルに茹でていただくしゃぶしゃぶや、甘辛い煮汁を絡めるすき焼きに濃厚な赤身肉の味は絶妙に活かされます。

 

ローストビーフ

肩(ウデ)はローストビーフにも向いています。ローストビーフは脂の多い、サシが贅沢に入った部位ですと冷めた時に脂が固まって、食感が悪く固く感じられてしまいます。適度な脂が入り濃厚な赤身肉である肩(ウデ)は、あっさり食べられるのに、しっかりとした食感で旨味の凝縮した、噛み締めると美味しさが口いっぱいに広がるローストビーフになります。
肩の中でもでは特にトウガラシがおすすめです。
ちなみに、牛肉全体で見るとモモ肉のシンシンやシキンボウもローストビーフに最適です。

 

炒め物・煮物

筋や筋膜が多く、肉のエキスも多く含まれている肩(ウデ)は、煮込みにすると筋や筋膜はプルプルしたゼラチン質に変わり、煮込んでも消えない濃厚な肉の旨味をまとって、極上の味わいが出来上がります。筋の入った焼肉やステーキで敬遠される部位は、シチューや赤ワイン煮込み、スープに最適なんです。
また、比較的安価で肉の味が濃いので、筋を除いた切り落としや細切れなどを炒め物にしても大変美味しくいただけます。
肩の中でも特にマクラと小三角がおすすめです。

 

「肩・ウデ」を使った、割り下から作る美味しいすき焼きの作り方

肩(ウデ)の濃厚な赤身肉は、すき焼きの甘辛い味と相性抜群です!すき焼きの作り方には関東風、関西風とあり、それぞれこだわりがある方もいらっしゃいますよね。また、市販のタレを使って、自分の好みに合わないこともあります。

せっかく良い牛肉を張り切って購入したのですから、美味しくいただきたいものです。好みに合わせて調整できる、割り下から作るすき焼きの作り方をご紹介します。

 

割り下から作るすき焼きの作り方(関東風)

関東風のすき焼きは、初めから割り下で煮込みます。最初に何枚か牛肉だけを割り下で煮ていただき、途中からザク(付け合わせ野菜)を追加して入れて、一緒に煮込む方式でいただきます。

材料(4人前)

【割り下】
醤油 200cc(1カップ)
みりん 200cc(1カップ)
砂糖 60g
酒 100cc

割り下が濃い時、薄めるための水200cc(昆布だしもおすすめ)

【すき焼きの材料 一例】

    • 和牛 肩(ウデ)すき焼き用スライス 500g〜800g
    • しいたけ 8個
    • 春菊 1束
    • 白菜 1/4個
    • 長ネギ2本
    • 白滝 1p
    • 焼き豆腐 1丁
    • 卵 4個〜 お好みで

作り方

  1. 【割り下】の材料を小鍋に合わせて一煮立ちさせておく。
  2. 春菊はざく切り、白菜は一口大の角切り、長ネギ斜めに厚めのぶつ切り、椎茸はいしづきをとる。白滝は沸騰したお湯でさっと茹でこぼしておく。(アク抜き) 焼き豆腐は8等分にカットする。卵も各々溶いておく。
  3. すき焼きの鍋に①で作った割り下を入れ、すき焼きの牛肉をまずは1枚ずつ入れる。表面の色が変わったら引き上げ、溶き卵でいただきます。
  4. 2-3枚そのまま楽しんだら、野菜も入れ、旨味のでた割り下で煮込みながらいただきます。煮詰まったら、水、もしくは昆布出しを入れて薄めながらいただきましょう。

 

割り下から作るすき焼きの作り方(関西風)

割り下をあらかじめ煮立たせ、煮ながら食べる関東風とは少し作り方の異なる関西風です。牛脂を使い、砂糖と割り下で、まさに焼きながら牛肉に火を通して味わい、その旨味の出た鍋に割り下や野菜を追加して食べ進めていきます。
関東風より、ワイルドでダイレクトなお肉の旨みを味わう食べ方になります。

材料

  • 砂糖 大さじ4
  • 【割り下】
  • 酒 150cc
  • 醤油 150cc
  • みりん 150cc

※すき焼きの材料は関東風を参照してください

作り方

  1. 【割り下】の材料を混ぜておく。他の具の野菜など切っておく。卵も各々溶いておく。
  2. すき焼き鍋を熱し、牛脂を馴染ませる。和牛肩(ウデ)スライスをのせて広げ、砂糖を大さじ1/4くらいずつ、表面に振る。
  3. 色が変わってきたらひっくりかえし、①の合わせた(割り下)を少し回しかけ、火が通ったところで溶き卵につけていただく。
  4. 2.3枚楽しんだら、野菜と割り下を少しずつ入れ、煮ながら溶き卵につけていただく。

※ふわふわ卵でとろける口どけ※
卵の白身をハンドミキサーなどでメレンゲ状に泡立て、溶いた黄身と合わせて、ホイップ状の溶き卵を作り、すき焼きをつけて食べると、ふわふわとろける口当たりになります。

 

終わりに

肩(ウデ)部位のご紹介いかがでしたでしょうか?
和桜通商ではミスジとトウガラシという人気希少部位だけでなく、肩三角というちょっとマイナーな部位を赤身肉スライスの一押し商品としてラインナップしています。
ステーキから焼肉、煮込みまで様々なポテンシャルを秘めた肩肉は数ある牛肉の中でも本当に魅力的な部位です。
赤身肉を食べたくなった時に、定番のモモだけでなく肩肉のことも頭に留めてみてください。

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