黒毛和牛の美味しい牛たたきの作り方~牛肉の選び方から調理法までシェフがコツを教えます~

和牛 タタキ

牛肉をさっぱりと食べられる牛たたきはおもてなしにも最適なご馳走ですね。良い和牛肉が手に入ったので、お店で食べたような美味しい牛たたきをみんなで味わいたいけど、ちょっと難しそうですよね。

実は牛たたきはちょっとしたコツを押さえれば簡単に出来る料理なんです。ご家庭でもプロが作ったような牛たたきができたら嬉しいですよね。

今回はおうちでも簡単に作れる牛たたきの作り方のコツをプロの料理人がお教えします。

 

牛たたき用肉の選び方

牛たたきは牛赤身肉の表面を焼いたり、炙ったりして火を入れ、冷やして薄く切ってたっぷりの薬味野菜をあしらった料理です。中をレアに仕上げる料理なので、牛肉の鮮度と肉質が大事なんです。

まずは牛肉の選び方から解説します。

 

牛のたたき向け部位ごとの違い

牛たたきは、赤身肉を使うのが定番です。赤身肉とひと口に言われても、部位が沢山あって、どこを指すのかわかりませんよね。赤身肉とは、サシの少ないお肉のことですが、ブランド和牛はきめ細かく入ったサシ(脂)が特徴なので、見た目だけで判断するのは難しいです。和牛で赤身というと、脂が比較的少ない、ヒレ、モモ、ウデ、スネ、ハラミ、ホホなどの部位を指します。
ウデ、スネ、ハラミ、ホホは筋が多かったり、肉が硬いので、牛たたきのようなそのままスライスして食べるような料理には向きません。

では、牛たたき向きの部位を解説します。
・ヒレ…最も肉質が柔らかく、脂もスジもほとんどない。サーロインの内側にある、赤身の最高級部位。
・内モモ…脂がほとんどない赤身。きめ細かくはないが肉質が均一で噛み締める旨味を楽しめる。
・ランプ…モモ肉の中でも特に柔らかい肉質と旨味を楽しめる赤身。
・シンタマ…モモの一部。脂肪が特に少なく、きめが細かいしっとりとした肉質の赤身。
・トンガラシ…肩と腕の間の唐辛子のような形の部位。肉は硬いが旨味が強く、牛たたきのように薄くスライスする料理なら肉のしっかりした味わいを楽しめる。

このように、部位によって、肉質や脂の入り方が違うので、好みに合わせて選びましょう。

 

和牛ブランドごとの違い

松阪牛、神戸牛、仙台牛を例にブランドごとの肉質の違いについてご説明いたします。

・松阪牛…細かく入った脂の甘い香りとなめらかな肉質が特徴。
・神戸牛…肉質がきめ細かく、脂の融点が低いので舌に乗せるととろける食感。
・仙台牛…脂と赤身のバランスよく、口の中にジューシーに広がる旨味が特徴。

このように、ブランド和牛はどれも脂の芳醇な香りと甘み、上品な肉質が特徴で、中には脂の融点が低く、とろける食感を楽しめる牛肉もあります。
牛たたきのようにほぼ生で仕上げ、冷やして食べる料理には脂の口溶けが悪いと美味しくありませんので、脂のあまり多すぎない、サシと赤身のバランスの良い牛肉を選びましょう。

 

たたき用牛肉選びの注意点

どのブランド、どの部位を選ぶにも共通して注意すべきポイントは、鮮度です。中を生で仕上げる牛たたきは、鮮度が良くないと食べたときに食中毒を起こしかねません。加工年月日を確認し、変色のない、とにかく鮮度が良いものを選びましょう。

 

たたき用牛肉の購入量のめやす

牛たたきは薄くスライスして供する料理ですが、レストランや和食店では、一人前7.8枚計算で大体100gになっていますので、ご家族や食べる方の人数に合わせて見積もってくださいね。

 

牛たたき用肉の下ごしらえのコツ

さて、鮮度の良い、美味しそうなブランド牛を入手したら、調理を始める前にまずは下ごしらえ。ちょっとしたコツで仕上がりが格段にグレードアップします。調理の際の注意点、下ごしらえのポイントについて解説していきます。

 

牛たたき 下ごしらえの仕方・コツ

① 牛肉がサク取り(サクに切っておくこと)されていない場合には直方体のブロック(1本(200g)の目安は、4センチ×4センチ×10センチくらいのサク)に切ります。
② 調理の30分から1時間前に常温に出しておき、表面に塩胡椒をまぶします。

牛たたき用肉の下ごしらえは以上です。さらに、美味しく作るプロのコツは、
・フォークで表面に何か所か穴を開けておくと味が染み込みやすい。
・スジや薄皮、脂身がついていたら削いで取り除く。
・焼いた後切りやすいように、綺麗にサク取りする。
・サク取りする時は、長辺が肉の繊維に並行になるように切り、後でスライスする時は繊維に直角に、断ち切るようにスライス出来る様にする。

などがあります。焼いた後、繊維を断ち切るようにスライスすると、柔らかく、噛みやすくなります。肉の繊維方向は、プロの料理人はとても意識をしながら調理しているんです。ですから、下ごしらえの時にちょっと意識してみると良いですね。

 

牛たたき 下ごしらえ上の注意点

牛たたき用肉の下ごしらえについては、ブランドや肉質、部位などであまり違いはありません。それより、重要なのは衛生面です。

必ず、綺麗なまな板やバットにのせ、新鮮な肉を使い、あまりベタベタ触りすぎないようにします。牛肉が生でも食べられるのは、牛肉の深部には寄生虫や菌がほとんどいないという理由からですが、空気に触れたり、手で触ると表面に菌が付着しますから、食中毒を防ぐ為にもあまり触り過ぎないように作業しましょう。また、肉を扱うまな板と他の野菜などを切るまな板とは別に用意することをおすすめします。

 

牛たたき用肉の調理の仕方

下ごしらえができたら、焼きます。牛たたきは、サクどりした牛肉の表面に火をいれ、中をレアに仕上げ、薄くスライスした、牛肉の刺身のような料理ですから表面に火をいれるのですか、その方法は二通りあります。それぞれの調理方法についてお教えします。

 

炙りで作る場合

コンロに網を乗せ、下ごしらえした肉を乗せたら、強火にします。1つの面につき1分ぐらいずつ、回しながら炙り、2周したら火を止め、アルミホイル、ビニール袋でくるみ、冷水につけて急冷するか、冷凍室にラップをしていれ、急冷します。

 

フライパンで焼く場合

フライパンに薄く油を引き、強火にして、牛肉をいれたら、1つの面につき2分くらいずつ、回しながら焼きます。1周焼いたら火を止め、上記と同様に急冷します。

 

仕上げ

牛肉を冷ましているうちに、付け合わせを用意しましょう。一般的には、玉ねぎ、みょうが 大葉などの薄い千切りを水にさらして、水気を切ったもの、おろし生姜、おろしニンニクなどが好まれます。

牛肉が冷えたら、端から薄くスライスして、お皿に並べ、付け合わせ野菜をあしらいます。

 

おすすめタレ

和牛たたきを美味しく食べられるおススメのタレの調理例です。

・わさび醤油…脂の旨味、肉の旨味をダイレクトに味わえるのはこれ。牛たたきにわさびをちょっと乗せ、お刺身醤油につけていただきます。
・ポン酢…脂の多い和牛をさっぱり楽しみたい人には、ポン酢がおすすめです。醤油1:酢1:柑橘類の絞り汁(酢橘果汁など)0.3:みりん0.3の割合で合わせて昆布や鰹節をいれたら、自家製ポン酢ができます。カツオのたたきのように、牛たたきの上からかけていただきます。
・トマトサルサソース…洋風に楽しみたい時、さっぱりサラダ仕立てにしたい時におすすめです。トマトの角切り、玉ねぎのみじん切り、塩胡椒、レモン汁、 オリーブオイルを和えます。牛たたきをカルパッチョのように並べ、トマトサルサソースをかけ、ベビーリーフをあしらいます。

 

余ってしまった和牛たたきを使った美味しい朝ごはん

美味しい牛たたきも、お腹がいっぱいで残してしまったり、作りすぎてしまったりした時の朝ごはんのアレンジ案をご紹介します。

 

◎牛たたき丼

前日の晩ご飯とはいえ、生のままで食べるのは抵抗ありますよね。そんな時は、すき焼き用の割下を沸かして、スライスした牛たたきの残りをさっとしゃぶしゃぶしてご飯にのせ、卵黄とネギを乗せて、豪華な朝ごはんになります。

 

◎味噌漬け

味噌漬けにすると、2日くらい日持ちします。(サクのままの場合) 味噌を少しの酒・みりんで伸ばし、ガーゼにくるんだ牛肉を漬けます。スライスなら一晩、サクの場合は1日くらいつけておいてからスライスして、きゅうりやネギの千切りなどの薬味野菜と共におかずとしていただきます。

 

◎具だくさんサラダ

牛たたきが少しだけ残ったら、サラダにトッピングしてみましょう。表面をさっと焼いて、サラダ野菜の上に盛り、バルサミコ酢、塩、胡椒、粒マスタード、オリーブオイルでドレッシングを作ってかけます。トマトと共にパンに挟んでも美味。

こちらを参考にして頂き、是非ご自宅で美味しい牛のたたきをお楽しみください。当店では牛のたたきにぴったりなブランド和牛の各部位もご用意しております。

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