他の部位では味わえない?!|黒毛和牛・牛肉の希少部位
「せっかく和牛を食べるなら、普段食べることがない希少部位を食べてみたい」
そう考えたことがある方もいるのではないでしょうか。
和牛の部位は細かく分けるとたくさんの部位があり、中でも希少部位はめったに流通しないため、肉好きなら1度は食べたい部位と言えます。
そこでこの記事では、希少部位について知りたい方に向けて普段見ることのない和牛の様々な希少部位について簡単に解説致します。
黒毛和牛・牛肉の希少部位についての定義・基礎知識
基本的に牛肉の希少性は「1頭からどれくらいの量が取れるのか」によって評価され、大体3キロ程度しか取れない部位が「希少部位」です。
ただし、ただ少量しか取れないだけで美味しくない部位、特に特徴のない部位というのも見受けられます。
牛肉の部位は分けようと思えばいくらでも分けれるもので、一説には200種類ほどの部位があるとも言われています。
よって当店が定義する希少部位は、少量しか取れなくて、その美味しさをしっかりと認められたものとします。
その中でも、1kg取れないものは、超希少部位と定義します。
さて、希少部位のことを話す前に、そもそも牛の重量はどのくらいなのか知らなければいけません。
和牛は枝肉の状態で約400kg程度が標準で、骨や内臓を除いて余分な脂肪を落とし各部位に分けた段階で300㎏程度となります。
枝肉は半頭単位ですので、1頭買いの場合実際には200kg前後の塊が2つとなります。
A5の和牛は大体各部位に分けるときに72~76%程度の歩留まりのため400kgは300kgになってしまうわけです。
標準的に各部位にバラすことをノーマルスペックと言うのですが、スペックした後のこの300kgが全部食べれるわけではありません。
各部位によって違いますが、例えば肩バラと呼ばれる部位は、脂を落として実際に食用として販売できる部位はたったの35%程度です。
何用にカットするのか、どこまでを販売するのかは各店舗にゆだねられているため一概には言えませんが、こまかな部位に小分けすればするほど、部位と部位の間にある脂やスジを除去していく必要があるわけで、どんどん食用部分の重量は減っていきます。
そうやって取れる量は減っていき、1頭から3kgくらいしか取れなくなってしまったものがようやく希少部位と名乗れるのです。
部位によっては1頭から500g程度しか取れない部位もあり、そのような希少部位はなかなか流通することはありません。
こと和牛というだけでも高級で、さらに銘柄牛の希少部位ともなるとかなり貴重です。
肉好きで集まって焼肉パーティするなど、機会があればぜひご賞味ください。
黒毛和牛・牛肉のマイナーな希少部位をご紹介
それでは各希少部位を、どのあたりの部位か、どのような食感か、美味しく食べる方法などを見ていきましょう!
とはいえ、希少部位の定義にあてはまる部位を書いていくと数が多すぎてとても書ききれません。
そこであまりに有名すぎる部位については今回は取り上げません。
例えば以下のような部位ですね。
「ミスジ」「カイノミ」「シャトーブリアン」「トモサンカク」
ご興味がある方は、以下の全部紹介ブログをご参考下さいませ。
【超希少部位】絶妙な赤身と霜降りのハーモニー | エンピツ
「リブロース芯」と「マキ」の間にちょっとだけある丸いお肉です。
リブ芯やマキを外していく時に一緒に取り外すと鉛筆の先のような円錐形をしていて、ごく少量しか取れない部位です。
牛にもよりますが、1頭から300g程度しか取れません!
ただでさえ少量しかないうえに、滅多に販売しているのを見かけません。
なぜなら、そもそもリブロースを販売する時にリブロース芯を外して売ること自体が多くないからです。
普通リブロースは全体を薄くしゃぶしゃぶ・すき焼き用にスライスしてしまうことが一般的ですので。
実は店主も食べたことがないので、食べた感想は一般的に言われていることを乗せておきますね。
リブロースならではのきめ細かく柔らかい肉質ですが、厚切りにすると適度な弾力があるそうです。
絶妙な赤身と霜降りのバランスが人気で、脂のしつこさがなくあっさりとした味わいで、塩コショウやわさび醤油がよく合うようです。
いつか食べてみたいものですね。
【佐賀牛・焼肉セット】リブロース(エンピツ・マキ・リブ芯)の希少部位
【超希少部位】ホルモンに似た噛み応えと濃厚な味わい | 千本筋
続いてご紹介する超希少部位は「千本筋」です。
別名「センボン」とも呼ばれます。
名前にも書いてある通り、千本はあるのではないかと言われているほどスジがたくさん集まった、独特の形状をしています。
外モモから取れる希少部位「ハバキ」の中に包まれて眠っており、取り出すときは正にお宝のようです。
スジが集まっていることから硬そうですが、食べてみるとホルモンのようなコリコリとした食感で、スジ(筋肉)からはとても濃厚でジューシーな味わいが楽しめます。
ゼラチン部分にはコラーゲンが豊富に含まれ、煮込むとトロトロとした食感になります。
しかし食べるなら焼肉にして食感を味わった方がいいでしょう。
牛一頭から500g程度しか取れないので、見つけたら超ラッキーですね。
トロトロした食感を楽しみたいなら塩だれ、お肉の食感を味わいたいなら甘口だれやわさび醬油がおすすめです。
【超希少部位】柔らかで濃厚な味わい | ネクタイ
ランイチと呼ばれる腰からモモ、お尻にかけての部位から取れる希少部位です。
ランプ肉の表面に張り付いており、取ると形がネクタイのように見えることに由来します。
ランプ肉の上には他にもランカブリや別の希少部位メガネも張り付いていますが、このネクタイはその中でも少なく1頭から600g程度しか取れません。
エンピツ同様にネクタイも店主は食べたことがないので、一般的に言われていることを書いておきますね。
うっすらとしたサシが入り、独特な鉄分のうま味、そして淡泊な味わいが特徴だそうです。
国産牛では硬いため細切り肉になることが多いですが、和牛の場合はとても柔らかく濃厚な肉のうま味がし、焼肉もしくは、分厚い部分をステーキで食べても美味しいとのことです。
塩だれやわさび醤油も良いですが、肉のうま味を殺さないように黒コショウなど香辛料ともよく合うそうです。
【超希少部位】ヒレで本当に希少なのはシャトーブリアンじゃない!? | ミニョン
恐らく肉好きの人ならヒレの中の超高級部位「シャトーブリアン」をご存知ではないでしょうか。
全牛肉部位の中で恐らく一番値段の高い、ヒレの中心部分をステーキカットした商品ですね。
しかし実は、ヒレの先端の細くなっている部分の方が取れる量が少なく希少なのです。
「ミニョン」はこの先端部分の名称で、1頭から500g程度しか取れません。
霜降りの量がシャトーブリアンより更に多く、たくさんの筋に囲まれているため、綺麗にスジ引きをするとほとんど残りません。
また先端なので形が細く、シャトーブリアンのような大きい断面でカットすることが出来ないため、5cmほどの厚切りステーキなどで提供することもあります。
実はシャトーブリアンより更に柔らかいのですが、通常はヒレ肉と命名して売られており、わざわざミニョンと名付けされていないので食べれる機会は滅多にないでしょう。
当店の商品の中では、ヒレ(小)という商品の方にミニョンが比較的多く入っています。
赤身のうま味|ウワミスジ
牛の肩甲骨の裏に位置する「ミスジ」の上部にある希少部位です。
ミスジ自体も希少部位と言えますが、希少と呼ばれるにはちょっと知名度が高すぎますね。
その点ウワミスジは聞いたことない方も多いのではないでしょうか。
通常は肩三角・クリや、マクラ、ヤリといった部位と一緒にスライスしてしまうため、ウワミスジだけ小分けすることは滅多にありません。
肩は運動量が多いことから赤身がちな部位ですが、肩の部位の中でも柔らかく食べやすいのが特徴です。
流石にミスジほど柔らかいわけではありませんが、適度にサシも入り、濃厚な赤身の味わいと脂肪が少ないことによるさっぱりした後味で脂っこいのが苦手な方にもおすすめです。
焼肉で塩だれもおすすめですが、ステーキにしてわさび醤油にしてもおいしいです。
一度食べたら病みつきになる柔らかさ|マキ(フカヒレ・三日月)
リブロースの中で、「リブロース芯」のまわりに巻きついていて、ごく少量しか取れない部位です。
ブーメランのような特徴的な形をしており、かなりサシが多く、マグロの大トロにも似たとろけるような柔らかさが特徴です。
ロースの中でも一番柔らかいとする人がいるくらいで、はじめて食べた人はその柔らかさに驚くことも多いです。
厚めに切ると舌の上でとろけるような食感が感じられます。
塩だれかわさび醤油でいただくのがおすすめです。
【あか牛・焼肉セット】マキ・リブカブリ・リブ芯のリブロース希少部位
さっぱり甘味があるジューシーな味わい | カマトロ
肩甲骨の内側から取れるミスジと隣接する部位です。
カマトロはザブトン・ハネシタと呼ばれる肩ロースの霜降り部位の内側から取れますが、ミスジによく似てサシが多く入る部位のためジューシーで、それでいて甘みがあるのでさっぱりしているのが特徴です。
マグロのカマトロのように首の近くの部位で1頭からごく少量しか取れないことに由来します。
脂の乗ったジューシーな部位なので、サッと炙ってシンプルに塩だれでいただくのがおすすめです。
お酒によくあう噛み応え | シキンボウ
金の延べ棒に似ていることに由来する、外モモから取れる希少部位です。
関西ではマクラと呼ばれます。
運動量が多く様々な筋肉が集まっている部位のため、基本的に赤身できめが粗いのですが、シキンボウは程よい霜降りになっているため噛むほどに赤身肉ならではの噛み応えと霜降りの甘い味わいが楽しめます。
噛み応えのある肉が好きな人には焼いて食べるのもおすすめですが、その形状はローストビーフにしてくれと言わんばかりですね。
当店でもローストビーフ用に3分割して販売しております。
どのように食べてもおいしいですが、濃い味で食べるとアルコールがよく進みます。
コリコリとした食感 | トウガラシ・トンビ
肩から腕にかかる肩甲骨付近から取れる希少部位で、トウガラシに似ていることに由来します。
その真っ赤な色合いとコリコリとした食感は、一部の赤身肉好きに絶大な人気を誇ります。
運動量が多いため若干スジが多いですが、薄く切るかスジさえ取り除けば赤身独特の肉汁が溢れ出すジューシーさに赤身ならではのうま味があるのが特徴です。
「やわらかいモモ」や「ヒレのような柔らかさ」に例えられることもあります。
焼肉で食べる場合味付けは塩コショウや塩だれがよく合います。
また、ブロックのままローストビーフにするのもおすすめです。
【仙台牛】焼肉用トウガラシ
シンタマで一番マイナーな希少部位 | マルカワ
4つの希少部位が取れるシンタマの中で、一番取れる量の少ないのがこの「マルカワ」です。
希少部位「シンシン」の上に、カブリ肉のように張り付いています。
とてもマイナーで、マルカワ単体で売ってるのを見たことがありません。
ただ個人的にはとても美味しい部位と思っていますし、赤身肉が好きな方はお勧めの肉として覚えておいても損はないかと思います。
さっぱりしている点は「カメノコ」に近いですが、意外とソフトな食感で、程よい弾力性も合わさり、たくさん食べてもしつこくありません。
焼肉で濃厚な味わいを堪能するには甘口のタレや醤油が合うと思います。
くどすぎず食べやすいバラ肉|ササミ
外バラから取れる希少部位です。
笹の葉のようなサシが入ることから「ササバラ」「笹の葉」、英語では「フランク」などとも呼ばれます。
赤身とサシのバランスが絶妙なので、サシが多く見えるもののサッパリとしており、バラ肉に似た食感に赤身の濃厚な味わいと霜降り肉ならではの柔らかい肉質が楽しめます。
バラ肉は脂が多く、くどいイメージがありますがササミは比較的さっぱりしていて食べやすい部位です。
わさび醤油かニンニク醤油がよく合います。
【淡路和牛】焼肉用ササミ
濃厚な味わいにハラミのような食感 | メガネ
骨盤(寛骨)から取れる希少部位です。
ランイチかモモにくっついています。
寛骨に空いている2つの穴のような部分がメガネのように見えますが、このメガネのように見える部分から取れる部位だったことに由来します。
きめが粗く繊維質な赤身でありながら噛み応えのある食感が特徴で、ハラミに似ていますが、濃厚な脂の甘みもしっかりと堪能出来ます。
取れる量は1頭から800程度と少ないため超希少部位と言えるかもしれませんが、味はカルビやハラミの方が美味しいので、ノミネートからは外しました。
甘口だれか塩だれがよく合います。
まとめ
希少部位はごく少量しか取れないため流通することがめったにない部位です。
丁寧にカットしないと、カットする段階で希少部位として切り出すことなくスライスしてしまうこともありますし、わざわざ小分けせずにカットしてしまうことが大半です。
ここに乗せていないものでもまだまだ希少部位はたくさんありますが、特にマイナーなものを選んでみましたので知らない部位が多かったのではないでしょうか。
それぞれの希少部位にはそれぞれの味わいがあるので、肉好きな方なら様々な希少部位を食べてみたいことかと思います。
当店ではサイトにない商品・部位でも相談に応じますので、お気軽にお問い合わせください!
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