淡路牛・淡路ビーフと兵庫県産淡路和牛
淡路牛と淡路ビーフの間に存在する「兵庫県産淡路和牛」は、和牛グルメ通が注目するとても希少な和牛です。
どうして「兵庫県産淡路和牛」が注目されるのか、その理由や美味しい食べ方など、「兵庫県産淡路和牛」の魅力をお伝えします。
目次
淡路牛・兵庫県産淡路牛・淡路ビーフの違い
肉も魚も美味しく、玉ねぎなどの農作物でも有名な淡路島では4種類の牛が生産されています。
淡路牛
まず、淡路島で一番頭数が多いのが「淡路牛」です。
「淡路牛」は、淡路島などで生まれ育った牛、または淡路島での飼育期間が他の場所より長い牛のこと。たとえば、淡路島の外で生まれた牛でも、淡路島で育った期間が一番長ければ「淡路牛」と呼ばれます。
「淡路牛」には和牛だけでなく、ホルスタイン種や交雑種などすべての種類の牛が含まれます。
淡路和牛
淡路牛の中で、和牛は「淡路和牛」と呼ばれます。
兵庫県産淡路和牛
さらに、淡路和牛の中でも、兵庫県産黒毛和牛の「但馬(たじま)牛」はほかと区別され、「兵庫県産淡路和牛」と呼ばれます。
「兵庫県産淡路和牛」とは、淡路和牛の但馬牛の中で、淡路ビーフの品質規格には満たない3歳~5歳の牛のことをいいます。
淡路ビーフ
そして、淡路牛のトップに君臨するのが「淡路ビーフ」です。
「淡路ビーフ」は、兵庫県産黒毛和牛の但馬牛で、定められた「淡路ビーフ」の品質規格を満たしたものです。
淡路島には約1万5千頭の牛が育てられいますが、その中で「淡路ビーフ」の認定を受けられるのは年間わずか150頭程度と、とてもレアな牛なんです。
淡路ビーフの定義
淡路畜産農業協同組合連合会によると、淡路ビーフは、淡路島などで生まれ育ち、または淡路島での飼育期間が他の場所より長い兵庫県産但馬牛で、
・兵庫県内で肥育されているもの
・BMS(霜降り度)がNo.4以上
・歩留等級(可食部分の割合)がA・B等級
・枝肉(えだにく:牛から頭や手足、皮、内臓などを取った状態の肉)重量がオス330kg以上、メス280kg以上
・月齢25ヶ月以上で、オスは去勢済み、雌は未経産
などの条件を満たしたものです。
兵庫県産淡路和牛が注目される理由
淡路ビーフをはじめ、神戸牛、特産松阪牛など、日本の銘柄和牛は国内外で人気が高く、近年値段も高騰しています。
極上の和牛を楽しみたいけど、高くて手が出なかったり、もうちょっと安かったらもっと頻繁に食べられるのにな…と、もどかしく思っている和牛グルメファンの方もいらっしゃるのでは。
そんな方たちにぜひ注目してほしいのが「兵庫県産淡路和牛」なんです。
注目ポイント①兵庫県産淡路和牛は100%但馬牛
「兵庫県産淡路和牛」は、実は、和牛グルメ通の間で知る人ぞ知る秀逸なお肉。
注目される理由の一つは、まず、「兵庫県産淡路和牛は100%但馬牛」だということ。
神戸牛や特産松坂牛などの素牛(もとうし)でもある但馬牛ですので、それだけでも食べてみる価値がありますよね。
注目ポイント②淡路ビーフとほぼ同じ品質である可能性
「兵庫県産淡路和牛は、淡路ビーフの品質規格に満たないといっても、必ずしも品質が劣るというわけではないから」というのも、注目される理由のひとつです。
どういうことかというと、まず、淡路ビーフになるためには、先ほどご紹介した淡路ビーフの条件を「全部」満たしていないといけません。
ここでは「全部」というところが大きなポイントです。
たとえば、霜降り度も等級もすべて申し分ないのに、メスの体重が280㎏にちょっと足りないというような、何かたったひとつの条件が満たせないだけで淡路ビーフになることができないのです。
ということは、霜降り度も等級も極上だけど、重量だけが足りない兵庫県産但馬牛が、淡路ビーフになれずに、兵庫県産淡路和牛となっている可能性も十分にあります。
それに、わたしたちが買って食べるのは部位ごとにカットされたお肉なので、枝肉が280㎏以上だったかどうかは正直あまり気にならないですよね?
注目ポイント③兵庫県産淡路和牛の希少性
和牛グルメ通が兵庫県産淡路和牛に注目するもうひとつの理由は「希少性」です。
兵庫県産淡路和牛は、レアな淡路ビーフよりもさらにレアなお肉なんです。
淡路ビーフが1年間に生産される頭数は150頭くらい。
それに対して、兵庫県産淡路和牛は100頭いかないくらいしか生産されていないので、兵庫県産淡路和牛のほうが淡路ビーフよりさらに少ないんです。
さらに、生産頭数が少ないだけでなく、県外には淡路ビーフを前面に押し出しているので、結果として、兵庫県産淡路和牛はなかなか市場に出回らない希少なお肉となっています。
注目ポイント④値段が安い
兵庫県産淡路和牛は、淡路ビーフと同じような質を期待できて、しかもこれだけレアなお肉なのに、淡路ビーフよりも買いやすいお値段になっています。
淡路ビーフというブランド名がついていないだけで安いお値段で買えるのですから、和牛グルメファンには嬉しいですね。
このように、兵庫県産淡路和牛は、
・100%兵庫県産但馬牛
・淡路ビーフに引けをとらない上質の肉である可能性
・生産頭数が淡路ビーフより少ない
・あまり市場に出回らない
・淡路ビーフのブランド名がついていないので値段が安い
といったところが魅力なんです。
歴史の中の淡路牛と但馬牛
淡路牛と但馬牛は、なんと700年以上も前から日本の歴史に登場しています。
鎌倉末期の1310年に書かれた「国牛十図」という絵巻に、優れた牛の産地や特徴とその容姿が記されていて、この中に淡路牛と但馬牛が登場しています。
「淡路牛は小柄ではあるが力が強く、逸物も少なくない。近年、西園寺公経から御厨牛と同等の評価を得た。
但馬牛は腰や背ともども丸々として頑健であり、駿牛が多い。」
(引用:農学部図書館所蔵資料から見る「農学教育の流れ」、獣医学専攻 今川和彦、東京大学農学部図書館 https://www.lib.a.u-tokyo.ac.jp/tenji/125/04.html)
この絵巻では、牛の特徴について「駿牛」という表現がもっとも賛辞を与える表現で、その次に「逸物」という表現が使われています。
絵巻に登場する10頭の中で、但馬牛は「駿牛」とされ、最も高い評価になっています。また淡路牛も「逸物も少なくない」とされ、良い評価を受けています。
このように、淡路牛と但馬牛は、700年以上も前から歴史に登場していた名牛だったのですね。
兵庫県産淡路和牛の特徴
兵庫県産淡路和牛は100%兵庫県産但馬牛なので、但馬牛の持つ優秀な特徴を血統で受け継いでいます。
まず、人肌で溶けるくらい融点の低いサシ。この脂肪には、オレイン酸などのモノ不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。モノ不飽和脂肪酸は融点が低いので、口の中で溶けはじめ、とろけるように感じられます。
また、筋繊維が細かく柔らかいので、きめ細かい美しい霜降りが入り、舌触りの良い上品な甘みと風味が口の中に広がります。
そして、うま味成分のイノシン酸も豊富なので、赤身を噛むごとに口の中にじんわりとうまみが広がります。
さらに、熱を加えたときに出る和牛香も、これらの美味しさをさらに引き上げてくれます。
兵庫県産淡路和牛の美味しい食べ方
兵庫県産淡路和牛のステーキ
とろけるサシと噛むごとに広がる赤身の旨味のバランスを楽しみたいなら、まずはずせないのはステーキです。レア~ミディアムレアに仕上げて、まろやかな口溶けと、きめ細かく柔らかい赤身をお楽しみください。
ステーキにおすすめの兵庫県産淡路和牛の部位は、きめ細かい美しい霜降りの入るサーロイン、ヒレ、リブロースです。
また、牛1頭から600グラムほどしか取れない希少な部位・シャトーブリアンを、頭数の少ない兵庫県産淡路和牛でいただくのも、グルメな贅沢ですね。
兵庫県産淡路和牛のすき焼きとしゃぶしゃぶ
兵庫県産淡路和牛の食べ方でステーキと同じくらいおすすめなのは、すき焼きとしゃぶしゃぶです。甘やかな「和牛香」を存分に楽しめますよ。
兵庫県産淡路和牛と玉ねぎを使って
兵庫県産淡路和牛を使って、産地淡路島にちなんだ料理を作るのも楽しいのでないでしょうか。たとえば、淡路島の特産品のひとつ、玉ねぎと兵庫県産淡路和牛を合わせる料理はいかが。
兵庫県産淡路和牛の牛丼
玉ねぎと兵庫県産淡路和牛のともばらや切り落としを使ったちょと贅沢な牛丼は、ごはんがどんどん進みそうですね。
兵庫県産淡路和牛のカレーとシチュー
カレーやシチューなどの煮込み料理には、煮込むと柔らかくなって美味しいスープが出るスネやカタバラ、ネックなどを使うのがおすすめです。玉ねぎやにんじん、マッシュルームなど好きな野菜も一緒に、トロ火で1時間半以上コトコト煮てみましょう。兵庫県産淡路和牛のエキスたっぷりの美味しいカレーやビーフシチューができますよ。
兵庫県産淡路和牛のギフト・お取り寄せ
神戸牛や特産松阪牛と同じ素牛・兵庫県産但馬牛から生産される兵庫県産淡路和牛。
和牛グルメ通の注目する兵庫県産淡路和牛は、生産頭数が年100頭いかないくらいと限られているし、県外にはなかなか出回らないので、残念ながら日本全国でいつでも買えるお肉というわけではありません。
通販でも希少なお肉なので、食べてみたい方は見つけたときにお取り寄せしてみるのが確実かもしれません。
また、グルメな方へのギフトにも、知る人ぞ知る兵庫県産淡路和牛のすき焼きやしゃぶしゃぶ、そしてステーキはきっと喜ばれるのではないでしょうか。
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