よく聞く「A5」・「A4」とは?|黒毛和牛の等級について

和牛 A5ランク ランキング

焼肉やステーキのお店でよく「当店は厳選したA5ランクの黒毛和牛を使用しています」といった謳い文句を掲げていることがありますよね。
A5ランクと聞いて、どのようなイメージを思い浮かべるでしょうか?

 

* 「最高ランクの牛肉」

* 「柔らかくておいしい霜降り肉」

 

おそらく、このようなイメージではないでしょうか。
結論から言いますと、「最高ランクなのは間違いないが、おいしさを評価したランクではない」のです。
そうなると、次のような疑問が浮かびますよね?

* 「じゃあ、”A5ランク”のようなランクって何?」

* 「”A5”ランクがおいしいとは限らないのか?」

この記事ではその疑問に答えるため、以下の内容を上から順番にご説明いたします。

* 和牛の等級とは

* 和牛の等級は誰のために付けられているのか

 

5分程度で読める内容ですので、ぜひご一読ください。
また、記事の最後にはまとめも書いてありますので、大まかな内容を知りたい場合にお役立てください。

 

「A5」、「A4」などと呼ばれる和牛の等級とは

「A5ランクがおいしいとは限らないのか?」

結論からから言いますと、おいしいとは限りませんが、おいしい可能性が高いと言えるでしょう。

A5ランクといったランクは、日本食肉格付協会(JMGA)によって格付けされた評価で、この格付けには味に関する評価項目がありません。

そのため、「おいしいことを保証するものではないが、等級が高いほど品質が良いためおいしい傾向にある」と言えます。

この格付けは大きく分けて以下の2つから決定され、それぞれにアルファベットと数字で評価が付けられます。

* 可食部分の割合を「A~C」で表す「歩留(ぶどまり)等級」

* 牛肉の品質を「1~5」で表す「肉質等級」

 

この組み合わせによって15通りの評価がなされるのですが、その中でも最高の等級なのが「A5ランク」となります。

これが最高のランクと言われる理由です。

では、歩留等級と肉質等級について詳しく見ていきましょう。

あらかじめ断っておきますと、込み入った内容のため「味に関する評価項目がないこと」と「どのように等級が決定されるか」を知識として知っていただければ幸いです。

 

和牛の等級 歩留等級とは?

歩留等級はカタ、ヒレ、サーロインなどの、商品となる肉が部位ごとにどれだけ取れるか割合を評価しているものです。

正確に言いますと日本食肉格付協会が定める13部位の割合を、「歩留基準値」によって算出し、A~Cで評価します。

 

日本食肉格付協会の定める13部位

* ネック

* カタ

* カタロース

* カタバラ

* ヒレ

* リブロース

* サーロイン

* トモバラ

* ウチモモ

* シンタマ

* ランイチ

* ソトモモ

* スネ

 

この13部位が部分肉として流通し、商品として売られます。

歩留基準値に基づいた歩留等級の算出方法は以下の通りです。

歩留基準値=67.37 +〔0.130×胸最長筋面積(cm²)〕

+〔0.667×「ばら」の厚さ(cm)〕

−〔0.025×冷と体重量(半丸枝肉kg)〕

−〔0.896×皮下脂肪の厚さ(cm)〕

(公益社団法人日本食肉格付協会「歩留基準値の算式」より抜粋)

一般消費者に向けたものではないので難しいですが「胸最長筋面積」は「ロースの断面積」、「冷と体重量」は「冷やされた枝肉の半分の重さ」を意味しています。

和牛の場合、算出した数値に2.049を加算して、これをA~Cのいずれに相当するかによって歩留等級が決定します。

 

* Aランク:歩留基準値が72以上

* Bランク:歩留基準値が69~72未満

* Cランク:歩留基準値が69未満

Bランクを「部分歩留が標準のもの」として、Aランクが「標準より良いもの」、Cランクが「標準より劣るもの」と評価されます。

 

和牛の等級 肉質等級とは?

肉質等級は以下4つの項目に分かれて評価されます。

* 脂肪交雑(サシの入り方):B.M.Sによって12段階で評価

* 脂肪の色沢と質:B.M.Sによって7段階で評価

* 牛肉のしまりときめ:数字によって5段階で評価

* 牛肉の色沢:B.C.Sによって7段階で評価

 

この4つの項目それぞれに、相当する1~5段階の等級を与え、総合的な評価として肉質等級が決定されます。

この時、いずれかの項目で最も低い等級で最終的な肉質等級が決定するため、A5の場合いずれの項目でも最高の5である必要がある。

(例)

* 脂肪交雑「4」

* 脂肪の色沢と質「4」

* 牛肉のしまりときめ「3」

* 牛肉の色沢「4」

➡肉質等級は「3」に決定される

 

それぞれ、4つの項目を詳しく見ていきましょう。

  1. 「脂肪交雑」はB.M.S(Beef Marbling Standard)という脂肪がどれだけ入っているかの項目で、12段階に分けられたナンバーのいずれに該当するかで評価します。

ナンバーが上がるほどサシが細かく入っていて、評価が高いです。

* No.1は脂肪交雑が認められないもの(サシが入っていない)として1等級

* N0.2はB.M.SNo.3に満たないものとして2等級

* No.3-No.4が標準的な3等級

* No.5~No.7が標準よりやや良い4等級

* No.8~No.12が標準よりかなり良い5等級

 

  1. 「脂肪の色沢と質」はB.F.S(Beef Fat Standard)という脂肪の色味と光沢を見る項目で、7段階に分けられたナンバーのいずれに該当するかで評価します。

脂肪交雑とは逆に、ナンバーが小さいほど評価が高いです。

* 等級5~2に該当しない(いずれのNo.にも該当しない)ものが1等級

* No.1~No.7が2等級

* No.1~No.6が標準的な3等級

* No.1~No.5が標準よりやや良い4等級

* No.1~No.4が標準よりかなり良い5等級

 

  1. 牛肉のしまりときめ

文字通り、「しまり」の良さと「きめ」の細かさを評価する項目です。

こちらは4項目の中では上記B.M.S.やB.F.Sのように、どのナンバーに該当するかといった評価ではなく、どちらも直接数字によって1~5段階で評価されます。

* 「しまり」が劣り、「きめ」が粗いものが1等級

* 「しまり」と「きめ」が標準に準ずるものが2等級

* 「しまり」と「きめ」が標準的なものが3等級

* 「しまり」がやや良く、「きめ」がやや細かいものが4等級

* 「しまり」がかなり良く、「きめ」がかなり細かいものが5等級

 

  1. 牛肉の色沢と質

「牛肉の色沢と質」はB.C.S(Beef Color Standard)という牛肉の色味と光沢を見る項目で、7段階に分けられたナンバーのいずれに該当するかで評価します。

淡すぎず、濃すぎず、その中間くらいのものが評価が高いです。

* 等級2~5に該当しない(いずれのNo.にも該当しない)ものが1等級

* No.1~No.7が標準に準ずる2等級

* No.1~No.6が標準的な3等級

* No.2~No.6が標準よりやや良い2等級

* No.3~No.5が標準よりかなり良い5等級

ここまでで肉質等級を決定する4つの評価項目を紹介しましたが、いずれも見た目による質の評価です。

味に関する項目はないので、「おいしいことを保証するものではない」ということがわかります。

 

和牛の等級は誰のために付けられているのか

和牛の等級は一体、誰のために付けられているのでしょうか。

「A5ランク」を謳い文句に掲げるお店があることから、おいしいことが消費者にわかるように宣伝しているかの印象を受けますが、これは違います。

A5ランクを謳い文句に掲げるお店があるのは、それだけ霜降り肉をおいしい、食べたいと思う人が多いことによります。

霜降り肉をおいしいと感じる人が多いほど、その需要に応じようと市場での取引が増加します。

最高の等級ともあればおいしい和牛の指標になるので、A5ランクがおいしいとされるのです。

 

実は和牛の等級というのは、日本食肉格付協会が「国産の牛肉を公正な価格で取引するために設けている規格」。

取引を行う業者にとってはこの等級によって、「商品となる部分肉が多く取れるか」、「肉の質が良いか」がわかるため、買い付けの際の指標になります。

つまり、公正な取引を行うための指標であり、精肉店などの仕入れ業者が品質の良い和牛を仕入れる際の目安ということです。

 

おいしい和牛を食べるには、プロにおいしい和牛を仕入れてもらうのが一番です。

そうして仕入れられたものが部位ごとに小分けにされて流通し、店頭や通販で売られます。

もし、個人で買い付けをしようと思ったら目利きが難しいですし、スーパーや精肉店で売られているように小分けになったものを購入することは出来ません。

おいしい霜降り肉を食べたいという期待に応じてくれる人がいるからこそ、安心しておいしい和牛が食べられます。

安心して質の良い和牛を食べる上で、欠かせないものだったのです。

 

まとめ

この記事の内容をまとめると以下の通りです。

* 和牛の等級は「肉質等級」「歩留等級」によって決定される

* 歩留等級は商品となる肉が部位ごとにどれだけ取れるかの割合を表し、歩留基準値によってA~Cで評価される

* 肉質等級は4つの評価項目から牛肉の品質が1~5で評価される

* 肉質等級はおいしいことを保証するものではないが、高ければおいしい傾向にある

* 和牛に付けられる等級はおいしさを評価するものではなく、公正な取引が行えるように付けられる取引規格

* 等級は精肉店などが良い和牛を仕入れるための目安となる

* 仕入れのプロがいるからこそ安心して質の良い和牛が食べられる

 

込み入った内容も多く、難しかったかも知れません。知識として、少しでもどのようなものか知っていただければ幸いです。

また、当サイトでは和牛の輸出を行っている問屋だからこそ出来る目利きと品揃えで、高品質の和牛をお手軽な価格にて販売しております。

和牛のご購入をお考えの際は、ぜひご検討ください。

 

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