地方によって変わる「すき焼き」を徹底解説 ~関東風・関西風・置賜風・魯山人風~

関東風 すき焼き

平日の夕飯時、テーブルの上の卓上コンロには湯気の上がるすき焼き鍋。 グツグツ煮えたお肉とお野菜は、味がしみこんで食べごろのようです。 家族みんなですき焼き鍋を囲む食卓は、ほっと和む光景ですね。 ここでは、「関西風」と「関東風」の二大すき焼きに加えて、「置賜(おきたま)風」と「魯山人風」という、和牛ファンなら知っておきたいすき焼きについて解説します。

 

すき焼きの代表的な作り方は「関西風」と「関東風」

地域や家庭によって作り方の違うすき焼き。 材料にも、豚や鶏を使ったり、ねぎか玉ねぎか、白菜を入れるのか?にはじまって、春菊かほうれん草か、しらたきか糸こんにゃくか…など色々なバージョンがあります。 とはいえ、すき焼きに入れるお肉に関しては、主流は牛肉。 そしてすき焼きの作り方で一般的なのは「関西風」と「関東風」になります。

 

関東風 すき焼き

 

関西風は「焼く」、関東風は「煮る」

関西風すき焼きと関東風すき焼きの違いをざっくりいうと、関西風は「焼く」、そして関東風は「煮る」です。 関西風では、まずお肉を焼き、そのお肉の上に砂糖、しょうゆ、酒をかけて味付けします。 その後で野菜などの具材を入れ、水分が足りなくなったら、水や酒、ダシなどを入れて調整します。 一方関東風では、まずみりん、しょうゆ、酒、砂糖で割り下を作ります。 次に割り下を沸騰させて、そこにお肉を入れます。そして野菜などの具材を入れ、火が通るまで煮ます。 作り手によっては、割り下を入れる前に牛脂でお肉を軽く焼くこともあります。

このように、関西風は「割り下ナシで焼く」、関東風は「割り下で煮る」のがポイントといえますね。 なお、食べるときに生卵に絡めるのは関西風と関東風のどちらにも共通しています。

 

関西風 すき焼き

 

置賜風すき焼きは「蒸す」

関西風と関東風のほかに、実はもうひとつ高級な和牛にぴったりのすき焼きの作り方があるんです。 その名は置賜(おきたま)風。 置賜は山形県にある地域で、高級ブランド牛「米沢牛」の産地として有名です。 この置賜地方で作られているすき焼きが、関西風とも関東風とも違う独特なものなのです。

特徴は、まず最初に、野菜や豆腐、しらたきなど、牛肉以外の材料を入れること。 そして、その野菜にフタをするように、広げた牛肉をのせていきます。 その後割り下を加えて、割り下と野菜の蒸気で牛肉に火を通す作り方なんです。

霜降り度の高い米沢牛は、その上質の脂も美味しさのひとつ。 熱した鍋に触れる作り方では、タイミングに注意しないと折角の美味しい脂が流れて台無しになってしまうかもしれません。 それが、牛肉が鍋肌に触れない置賜風なら決してそんなことはなく、お肉の旨味がほどよく野菜に落ちて美味しくいただけるというわけです。

この置賜地方のすき焼きは、米沢牛以外の牛肉でも試したくなりますね!

 

魯山人風すき焼きは「砂糖なし」

もうひとつ、和牛グルメファンなら知っておきたいのが、北大路魯山人のすき焼きです。 北大路魯山人は、画家、陶芸家、書道家など多彩な顔を持つ芸術家で、料理家や美食家としても有名な人物です。 独自のこだわりを持ち、フランスの高級料理店トゥール・ダルジャンで、出された鴨料理のソースの味に満足せず、自ら持参したわさび醤油で食したというエピソードでも有名です。

そんなこだわりの美食家だった魯山人には、すき焼きにも彼独自の流儀がありました。 「まず食べたいだけの肉を焼き、それを絶妙のタイミングで食べ終えてから、食べたい分だけの野菜を入れ、少量のだしを注ぎ、味付けして煮る」 また、煮立てながら食べることを「書生喰い」と非難しています。

魯山人風すき焼きのポイントは ・砂糖が入らないので甘くない ・肉と肉以外の具材は別々に調理 ・大根おろしでいただく

甘くないすき焼きってどんなかんじなのか、興味がわきますよね!

 

すき焼きにおすすめの和牛の部位

すき焼きには和牛のどの部位のお肉が一番美味しいのでしょう? 答えは、あなたの好みが赤身のお肉か霜降りかで違ってきます。

まず赤身のお肉がお好きな方におすすめなのは「モモ」と「肩」。 噛むほどににじみ出る赤身肉のうま味を楽しめます。

次に、赤身も霜降りも両方楽しみたい欲ばりさんには「肩ロース」がおすすめ。 適度な霜降りで柔らかさもすき焼きにぴったりです。

最後に、とろける霜降りを楽しみたい方には、断然リブロースかサーロイン。 すき焼きの味の染み込んだふんわりやわらかい霜降りのお肉…あなたなら何風のすき焼きで食べたいですか?

 

すき焼きの定番具材と切り方

地域や家庭によって様々な具材が使われるすき焼き。 あなたにもきっとこれは絶対!という具材があるのではないでしょうか。 ここでは定番のものを選んで切り方や下ごしらえのヒントをまとめてみました。

・牛肉 大きなままで豪華に。 食べやすい大きさにきっても良いです。
・ねぎ ぶつ切り または 1~2㎝幅の斜め切り
・白菜 葉はザク切り、白い部分はそぎ切り
・焼き豆腐 縦に切ってから1.5㎝幅に切る 木綿豆腐をフライパンで焼いて使ってもOK
・糸こんにゃく・しらたき 湯通しして臭みをとる 2~3等分に切る
・しいたけ 十字の切込みの飾り切りをすると豪華さアップ
・春菊 葉と茎に分けて5㎝幅に切る

 

関西風すき焼きの材料と作り方

関西風すき焼きの材料例

牛肉、しいたけ、春菊、ネギ、 焼き豆腐、糸こんにゃく、白菜、玉ねぎ、麩、セリなど

関西風すき焼きの作り方

1.すき焼き鍋を熱して、牛脂を溶かします。

2.牛肉を鍋に入れ、さっと火を通します。

3.牛肉に砂糖をふりかけます。しょうゆと酒も加えます。

4.牛肉以外の具材を加えます。

5.汁気が足りなくなったら、水や昆布でとっただし汁を加えます。

6.火が通ったらできあがりです。生卵につけていただきます。

 

関東風すき焼きの材料と作り方

材料例

牛肉、しいたけ、春菊、ネギ、焼き豆腐、しらたきなど

 

作り方

1.すき焼き鍋を熱して、牛脂を溶かします。

2.しょうゆと砂糖、酒、みりん、水を煮詰めた割り下を鍋に入れます。

3.割り下が沸騰したら牛肉を入れて少し煮ます。

4.残りの具材を加えて煮ます。必要なら割り下を足します。

5.火が通ったら出来上がりです。生卵につけていただきます。

 

置賜風すき焼きの材料と作り方

材料例

牛肉、白菜、長ねぎ、椎茸、豆腐、糸こんにゃく、しめじなど

 

作り方

1.すき焼き鍋を熱し、牛脂をとかします。

2.野菜など牛肉以外の具材を鍋に入れます。

3.牛肉を広げながら、具材を覆うように牛肉をのせます。牛肉で野菜にフタをするようなイメージ。

4.割り下を加えます。割り下と野菜の蒸気で牛肉に火が通っていきます。

5.牛肉の表面の色が変わったらできあがりです。食べるときに牛肉を割り下にくぐらせて、生卵につけていただきます。

 

廬山人風すき焼きの材料と作り方

材料例

霜降りの牛肉、豆腐、ネギ、春菊、ほうれん草、椎茸、大根おろし用の大根など

 

作り方

1.すき焼き鍋を熱し、牛脂をとかします。

2.食べたい量の肉を入れ、酒、しょうゆ、少量のみりんで味をつけます。

3.肉に大根おろしをのせていただきます。

4.肉を食べ終わったら鍋に昆布と鰹のだしを入れ、肉以外の具材を煮込み、大根おろしをのせていただきます。

5.2~4を繰り返します。

 

おわりに

いかがでしたか? 関西風・関東風・置賜風、そして魯山人風のどれもが美味しそうで、いつもと違うすき焼きの作り方に挑戦したくなりますね! あなたの次のすき焼き、何風でいきますか?

 

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