和牛の個体識別番号とは?|牛の耳についているタグ
「牛の耳に付いている黄色いタグみたいなものって何だろう?」
テレビ番組や実際の牧場などで、牛の耳に黄色で番号が書いてあるタグのようなものが付いているのを見たことはありませんか?
あのタグの正体は、言ってみれば「牛のマイナンバー」のようなもの。
これは国産牛肉の安心と安全を確保するための取り組みの1つです。
もし和牛を買おうとした場合に、以下のことがあると怖いですよね?
* 病気の恐れ
* 産地偽装(本当は中国産のものを国産とするなど)
普段の食事にも関わることなので、わかっていた方が安心です。
この記事では和牛の安全性について、以下の内容を上から順番にご紹介します。
* 個体識別番号は「牛のマイナンバー」
* 個体識別番号から見た和牛
あまり認知されていない安全への取り組みですが、どのような取り組みが行われているのか知っていることが大事です。
このことを知っていれば、産地が気になる場合など、その牛についての情報を調べることが出来るようになります。
5分程度で読める記事ですので、ぜひご一読ください。
また、記事の最後にはまとめも書いてありますので、大まかな内容を知りたい場合にお役立てください。
個体識別番号は「牛のマイナンバー」
冒頭でも触れましたが、「牛の耳についている黄色いタグ」の正体は牛のマイナンバーとも言えるもので、安全性の確保に大事な役割を果たしています。
あるいは戸籍のようなものと考えてもらって良いでしょう。
なぜ安全性を確保するために大事な役割を果たしていると言えるのかについては次の項目で説明しますので、ここでは個体識別番号とはどのようなものか紹介いたします。
個体識別番号と呼ばれるのは黄色いタグに書かれている10桁の番号のことを言い、黄色いタグのことを「耳標(じひょう)」と言います。
この番号を牛に与えることで、個々の牛に関する情報と番号を紐づけることが可能になります。
そして、個体識別番号には専用の検索フォームがあり、誰でも10桁の番号を入力すれば個別に牛に関する情報を見ることが出来るようになっています。
個体識別番号は国内の全ての牛にそれぞれ与えられるもので、「生まれてから牛肉となって販売されるまでの、個々の牛に関する情報」がまとめられています。
番号は牛が生まれた時・輸入された時に付けられ、牛肉となって卸売業者や小売店といった販売業者、焼肉店といった特定料理提供業者に流通する際も正確に伝達する必要があるものです。
個体識別番号は検索フォームで牛のことを調べられるようにするため、様々なところで見かけることがあります。
身近なところでいうとスーパーのラベルにも個体識別番号が記載されている他、ショーケースのプライスカード、パネル、メニューなどにも記載されています。
また、番号と牛に関する情報を紐づける仕組みについては、出生(あるいは輸入)・異動(転出・転入・取引等)・と畜された時に届出を「独立行政法人家畜改良センター」というところに提出、それを受けて牛ごとに牛個体識別台帳に記録するというものです。
台帳には以下のことが記録されます。
(公表事項)
(1)個体識別番号
(2)出生又は輸入の年月日
(3)雌雄の別
(4)母牛の個体識別番号
(5)飼養施設の所在地(都道府県名)
(6)飼養施設における飼養の開始及び終了の年月日
(7)とさつ、死亡又は輸出の年月日
(8)牛の種別
(9)輸入された牛について、輸入先の国名
(10)と畜場の名称及びその所在地
(11)輸出された牛について、輸出先の国名(同意を得て公表する事項)
(1)管理者の氏名又は名称
(2)輸入者の氏名又は名称
(3)と畜者の氏名又は名称
(4)輸出者の氏名又は名称
(5)飼養施設所在地(都道府県名を除く)
(家畜改良センター「牛個体識別制度」より抜粋)
その牛に関する公表事項と、管理者・輸入者・と畜者等に関する同意があれば公表する事項とに分かれています。
マイナンバーや戸籍のようなものと例えたのは、番号からわかる情報が人間で言うと生年月日や性別、住所(出生地・育てられた場所)などといった情報と類似するからです。
以上のことから、個体識別番号は国内全ての牛に与えられる牛にとってのマイナンバーや戸籍のようなもので、生まれた時から牛肉として流通・販売されるまでの様々な記録を、個々の牛と紐づけるためのものだと言えます。
個体識別番号から見る和牛の安全性
個体識別番号は安全を確保する上で大事なものです。
その理由は牛が生まれてから食肉として流通・販売されるまでに病気に掛かっていないかチェックし、また産地がきちんと確認出来ることが安全に繋がるからです。
具体的にどのような病気への対策かと言えば、それは2001年に日本でも確認されて食肉への信用を揺るがした「狂牛病」です。
加えて、産地偽装による問題も取り沙汰されたことで、食の安全に影響を及ぼす大きな問題となりました。
元々、狂牛病への対策として導入された「牛トレーサビリティ」で、その中核を担うものが個体識別番号による管理でした。
狂牛病は正確にはBSE(牛海綿状脳症)といい、潜伏期間が長いのが特徴です。
その期間は2~8年で、英国では3~6歳の牛が主に発症しているとされます。
この狂牛病の特徴を踏まえて安全を最優先とする場合、国内すべての牛を食肉にされるまでに渡って検査をする必要があり、そのために必要となったのが牛に与える番号だったのです。
先ほど個体識別番号から産地がわかるということについて触れましたが、産地偽装があったことを考えるうえで、とても大事なことだと言えるでしょう。
また、この狂牛病が確認されたことを受けて、国が個体識別番号を導入するのに先駆けて、独自に個体識別管理システムを導入して安全の確保に努めたケースもあります。
それが松阪牛で、松阪牛の定義には「松阪牛個体識別管理システム」に登録するという要件が入っています。
社会的な問題となって国も食の安全を確保する取り組みを推進しましたが、それとは別に生産者団体によってブランド和牛の定義に個体識別管理システムへの登録を盛り込むことで安全を確保した例が松阪牛なのです。
また、松阪牛個体識別管理システムでは血統や食べたエサなどもわかるようになっていて、より安心と安全に配慮しています。
現在は牛トレーサビリティが導入されたことでこのような問題は起こっていませんが(起こったら社会問題になります)、国のみならず和牛に関わる様々な人の努力によって安全に和牛や国産牛を食べることが出来ていると言えます。
ところで和牛と国産牛の違いってご存じでしょうか?
和牛と国産牛の違いで、大きいものは産地の違いです。
* 国内で生まれ、国内で育てられた牛が「和牛」
* 海外で生まれ、日本で育てられた期間が最長の牛も「国産牛」として扱われる
もうすこし細かい話をすると和牛と定義される牛は品種が決まっているのですが、詳しく知りたい場合は当サイトの和牛コラムに記事がありますのでそちらをご参照ください。
ここで伝えたいことは「国産と和牛は同じではないこと」です。
牛の産地はどこで生まれたかではなく、最も長い期間育てられた場所が法律上では産地となります。
そのため、例えば東京都で生まれた牛が取引されて神奈川県で何年も育てられた場合、産地は神奈川県となりますし、アメリカで生まれた牛が輸入されて日本で育った期間が長ければ国産牛となります。
以上を踏まえて、個体識別番号は和牛の安全性に関わる大事なものだと言えます。
個体識別番号自体は海外から輸入された国産牛にも与えられますが、松阪牛をはじめとしてブランド牛は生産者団体が定めた条件(定義)を満たす必要があるため、一定の品質が保証されます。
輸入牛だと産地が気になるなどで、少しでも安心して牛肉を食べたい場合は、和牛の方がより安心です。
まとめ
この記事の内容をまとめると以下の通りです。
* 個体識別番号は牛にとってのマイナンバーや戸籍のようなもので、性別や生まれた場所、異動の記録などがわかる
* 元々は狂牛病対策に導入された「牛トレーサビリティ」の中で、狂牛病の恐れがないかチェックし、安全性を確保するためのもの
* 産地もわかるため、産地偽装の対策にもなっている
* 国が個体識別番号を導入するのに先駆けて、独自に個体識別管理システムを導入して、安心安全のブランドとして押し出したブランド牛が松阪牛
食べたエサに関する情報や血統までわかるように配慮した
* 産地については海外で生まれた牛でも日本で育てられた期間が長ければ国産牛として扱われるので、輸入された牛の産地が気になる場合は和牛がおすすめ
当たり前のように牛肉を食べていますが、その当たり前の安全性は牛に関わる人たちによって守られています。
このようなシステムがあることで安全性が守られているということが、少しでも伝わりましたら幸いです。
また、当サイトでは安心と安全、おいしさにこだわった本当においしい和牛お手軽な価格で販売しております。
おいしい和牛の購入をお考えの際はぜひ、ご検討ください。
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